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え?!感染者と接触した可能性??

こんにちは。パン屋のぜにこです。

パン屋の前は公衆衛生の研究者なんてやっていたぜにこの目線で、 みなさんの疑問や不安にお答えしてみようと思い、このコラムを継続しています。

 

さて、先日 お店のLINEからもみなさまにお知らせしたのですが

8月上旬、お休みに友人とふらふら有楽町駅前を歩いていたところ、ZIPという番組の取材を受けてしまいました。

 

「接触確認アプリ、いれてますか」

というテーマです。

 

実は、上記のようにいちおう専門家のはしくれではあるのですが・・・

恥ずかしながらアプリを入れていませんでした苦笑

 

言い訳ではないですが

自分が原理を理解してないものには、なかなか手が出せない性分なので

ちゃんと調べてから入れよう〜なんて思いながら、日々忙殺されて忘れておりました。

 

 

でも・・・テレビにまで「入れてない人代表」で映っちゃったし

ここはえいや!っと、わからないままでアプリをダウンロードしました。

画像をクリックすると、厚生労働省のページに飛びます。

ざっと読みましたが・・・めちゃくちゃわかりにくいですね笑

 

このCOCOA、仕組みをすごーくカンタンにすると・・・

ケイタイが近くの機器と通信するために使っている「Bluetooth」という無線を使って

アプリが入っているケイタイ同士が近づくと「このケイタイが近づいた」という記録が残るということ。

 

この際、電話番号や個人の名前などを記録するわけではなく

なんだかよくわからないけどその機械を特定できる「暗号」として、記録が残っていきます。

 

うーん、具体的にしたほうがわかりやすいですね。

たとえばですが、ぜにこがレジに立っていて携帯を持っており

お客さんがCOCOAが入った携帯をもって来店される ということを想定してみましょう。

 

上の図では、お客さんとして ちぎりん(右)がCOCOA入り携帯を持って来店しました。

この携帯は、COCOA的には「XCXCXC」という名前になっています。(携帯を判別する暗号ネームです)

そうすると、無線経由で「XCXCXCという携帯が近づいたよ!」という記録がぜにこ(左)の携帯に残ります。

もちろんぜにこからは、XCXCXCがちぎりんの携帯だということは、どうやってもわかりません。

 

このアプリは、ただこれだけを日々繰り返しています。

特に何か通知があるでもなく、ひっそり「この携帯が何月何日何時何分に近づいた」という記録をつづけています。

常に、過去14日分の接触記録を記憶しているそうです。

感染から発症までの期間を考慮しているんでしょうね。

じゃあどうやって感染確認するのか?ということが大事なところですが

これは「本人が感染したことを登録する」のです。

 

再度ちぎりんに登場いただき、悲しい役になっていただきます。

ちぎりんが、パン屋来店の次の日 コロナに感染していると診断されてしまったとします。

COCOAには「陽性情報の登録」という項目があり、ここから自分の状態を登録します。

当然、本人が登録しないとこの仕組みは機能しないのですが

アプリを入れる気持ちのある方なので、そこは登録してくださると信じるしかありません…。

そんなこんなで、感染したちぎりんが自主的にアプリに報告すると、

この「XCXCXC」という携帯の近くにいたかもしれないすべての携帯に

下記のような『あなたはコロナ感染者に接触したかもしれない』という通知が送られます。

これ来たらびっくりしますね。

 

 

…実はこの画面、わたしの実際の携帯画面スクショです。

夜中にふと目覚めて携帯をみたらこれ。

 

息が止まりました。

でもね、COCOAのアプリを開いてみたら、これ。

んん?どっちを信じたらいいのだ?

なにが正しいんだ?

 

真夜中には酷な複雑な状況、うう・・・

明日も早いのに・・・

と思いながら寝落ちまして、翌朝。

どう考えてもこのままでは良くないので、猛然とリサーチを開始しました。

まず、こんな記事にたどり着きました。

COCOAで接触の通知があったけど、アプリ上で接触が確認できない時の対処法について

 

まさに、ぜにこの身に起こったのと同じ現象が詳しく説明されていました。

このページの言うとおりに、

iPhoneで「設定」→「プライバシー」→「ヘルスケア」→「COVID-19接触のログ記録」→「接触チェックの記録」と

たどっていきますと・・・・

 

めちゃくちゃいっぱい同じ日付と時間が並んでます。なんじゃこりゃ。

想像ですが、何時間かおきにたまったデータを書き出しているんだけど

携帯の持ち主にも時間が特定できないように、「同じ日時」として表示しているような気がします。

だって「あの日のあの時間に会ってたのは、◯◯さんだ!」ってわかっちゃいますからね。

 

で、これをひとつずつ開けていくと・・・

こんなかんじです。

「提供されたキーの数」が、出会った携帯の数。

「一致したキーの数」が、出会った携帯のうち「感染している」と報告している数。

この画面の日時は「一致したキー」が「0」なので、感染している人には出会っていません。

 

これをコツコツ確認していくと・・・なんと、「1」の日が2つ発見されました。

どちらも、パン屋営業日の金曜と、その翌週の木曜。

 

 

ふえ〜

ぜにこ隔離か?

パン屋どうする??

 

 

さすがに超あせります。

しかし、いったん冷静に考えてみて・・・

 

このアプリの「濃厚接触」の定義は、「15分以上 1m以内の接触」。

パン屋は狭いので1m以内にお客さんがいらっしゃることは理解できるけど

15分以上滞在されるお客さんは、ほぼいない。

 

じゃあずっと接触しているスタッフ、または家族??

だとしたら、1週間も離れた2日しか「接触」してないのは、どう考えてもおかしい。

 

そう考えると、わたしがスタッフ・家族以外と濃厚接触できる可能性って限りなく低いような・・・

いろいろ調べた結果、厚生労働省としてはこのような「通知があったけどアプリで確認できない」ケースを「調査中の不具合」としているようです。

えらい混乱を与えてくれる不具合です。

 

実際、ネット検索すると同様のパターンで困っている方が散見されます。

厚労省に問い合わせた結果、こんなことを返されたという方も。

 

- 一致したキーが1以上なので、陽性者との接触があったと判断して対応せよ 

- 体調に不安があればコールセンターに連絡せよ 

- 体調に変化がなく、感染者との接触に心当たりがなければ連絡は不要 

- 「キーが一致しててもアプリ上で接触が確認されない」という事象は現在調査中

 

 

この記事を書いた方は、なかなか鋭い考察をされていて、こんなふうに考えておられます。

「通知があって一致キーもあるけど、アプリ内で接触を確認できない」という状態がどのような状態なのか、COCOAのサポートセンターも「調査中」としているので、正確なところはわからない。しかし筆者個人としては、「1メートル・15分」ではない、緩い接触があったのではないか、と推測している。

 

 

ぜにこも概ね同意で、

Bluetoothってのは10mぐらい飛ぶ無線なので、実はけっこう広範囲を拾っているんじゃないかなと想像しています。

 

 

うちのパン屋から10mの範囲と考えると、

蔵前橋通りを渡った向こうまで。

川も渡って墨田区側まで。

そこそこ広範囲をカバーすることになります。

 

そして、15分じゃなく1〜2分ぐらい滞在することは、十分にありえます。

信号待ちとか。

交番で道を聞くとか。

自販機でジュース買うとか。

 

 

そう考えると、iPhone自体はゆるく「接触」の判定をして通知したとしても

アプリの接触基準である「1メートル・15分」に満たないときは、アプリ上では「接触していない」ってことになるんじゃないかと。

 

そしたらこれって、

アプリの基準に満たないので、濃厚接触とは考えなくてよいでは、と。

 

 

実際、だれかと濃厚接触した記憶もなければ症状もないし・・・

ということで、だいぶCOCOAにびっくりさせられましたが、ぜにことパン屋は無事であります。

そうは言っても

おそらく「1」がついていた日に、感染しているはずの方が通りがかったことは間違いないのだとしたら

思った以上に、身近にコロナがあるのだということ。

 

なんとなく、一時期よりは気が緩んできてしまっているのは自分でも否めないですが

改めて気を引き締めて、基本の手洗い・消毒・マスクを確実にしていこうと思います。

 

みなさまも、知らずに感染を広げないために、

またStay homeになっちゃわないために、

まずはアプリをいれてくださいね。

 

そもそもアプリ入れてなかったお前が言うな!って言わないでね笑