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「マスク」って意味あるの?

こんにちは。パン屋のぜにこです。

ウイルス感染が心配な今日このごろ、パン屋の前は公衆衛生学の研究なんてやっていたぜにこの目線で、 みなさんの疑問や不安にお答えしてみようと思います。

 

さて、第2回は「マスク」について。

先週のある日、こんなお電話をいただきました。

 

「今日おたくで食パンを買わせていただきました。ひとりずつの入店にされるのはいいんですが、レジの方がマスクをしていませんでした。どういうことですか?」

 

もちろん、マスクをしていないことには理由がありまして。

マスクが入手しがたいこと、

スプレーマスクを使用していることをレジに掲示していることなどわたしたちの対応方針についてご説明し、

「ということで、当店のスタッフはマスク着用していません」とお伝えしました。

 

すると

「嫌だったら買いに行かなきゃいいんですね」

と、その電話は切れました。

 

 

なんだか、とても悲しい気持ちになりました。

それはともかく、再度「なぜマスクをしなかったのか」をご説明しておく必要があることに気づかせていただきました。

 

 

まず、マスク着用に意味があるのか?という点から。

これはよく取り沙汰されていますが、正直に申し上げて、一般の方がどんなマスクをしても、予防効果にあまり変わりはありません。

いちおう根拠はありまして、

アメリカで7つの医療機関で4年をかけて実施した壮大な「マスクのインフルエンザ予防効果比較試験」によると

予防のためにN95と言われるウイルス予防のための医療用マスクをしても、ふつうのサージカルマスクをしても、予防効果は変わらないことが報告されています。(JAMA. 2019;322(9):824-833.

 

これは、マスクを正しく装着し、正しく廃棄する ということをご自身で徹底するのが実は結構難しいということを示しています。

お医者さんが手術の時にマスクをしているのは、よくテレビなどでご覧になると思いますが

マスクだけでなくキャップ、ガウン、グローブ、シューズカバーなども着用しています。

これらは裏返しに触らずに廃棄し、手術エリアから持ち出さないことを徹底しています。

 

もちろん飛沫を飛ばさない、吸い込まないために、みなさんがマスクをすることは良いことです。

でもマスクが最も重要なのではなく、

手洗いの徹底と、顔周りを触らない(手についたウイルスを口や鼻に近づけない)ことのほうがはるかに感染リスクを下げます。

 

医療用マスクなら大丈夫?という方もいらっしゃるかと。

でも、よく読んでください。

上記の研究は医療用マスクを着用したデータに基づいています。

マスクの質にはよりません。

 

WHOやFDAのコロナウイルス特設サイトにも、先月までは

「一般の方がマスクをしても予防効果はないので、医療者や症状がある方に使ってもらうため、予防のための使用はしないように」とありました。

 

そう、マスクをしないでいた理由の2つ目は

公衆衛生の観点から、貴重なマスク資源を無駄にしないため

公衆衛生とは、ひとりひとりの健康ではなく社会の健康を守るための学問です。

目の前のひとりが良ければいいのではなく、より多くのみなさんが健康であるための、方策です。

 

うちの主人は医療機関に勤めていますが、

病院からの通達により、各部署で保管しているマスクがすべて徴収されたとのこと。

最前線にマスクを行き渡らせるために、医療機関でもそこまでするんです。

そのぐらいマスクが足りていない。

 

理由は、今 通常よりはるかに多くの方がマスクを買っているからです。

 

わたしたちは、本当にマスクを必要とする現場を思って

無駄な消費をしないようにしたい。

そんな思いから、マスクをしないで、最大限のできることをしながら営業してきました。

 

 

しかし、状況は変わって来ました。

今回のコロナウイルスは「症状が出る前から感染する」という事実がわかってきています。

 

 いままでは、無症状なので無駄遣いしないように・・・と思ってマスクをしないでいましたが

ようやく昨日ウォッシャブルマスクを10枚入手できたこともあり

スタッフ全員に、いままでどおりのスプレーマスク(資生堂IHADAアレルスクリーン)に加えて、物理マスクの使用 を義務付けることにしました。

 

マスクは外すたびに取り替えて洗浄し、1日の終りには次亜塩素酸消毒します。

 

これでどのぐらいの感染防止効果があるかは不明ですが、

少なくとも顔への微粒子付着を防げるし、飛沫の飛散を物理的には防げるので

通常の手洗い・消毒を合わせることで、現在考えられる最低限の感染予防はできるかな、と考えています。

 

 

もちろん、手洗いは前回ご紹介した方法を徹底しています。

レジのiPadやカードリーダー、さらに各自のスマホもアルコール消毒するようにしています。

現金授受によるウイルス付着を防ぐため、キャッシュレスでのお支払いもお願いしています。

また、お客さまにはさらにご不便をおかけしていますが、行列による感染リスクを避けるため、ご予約限定での営業に移行させていただきました。

 

できる限りの対応をして感染を予防しつつ

貴重なマスクをより多く医療機関にまわしていただければ・・・と考えております。

 

どうぞご理解の上、パン屋にお越しくださいませ。

 

 

【参考リンク】

・米国のインフルエンザ予防試験 JAMA. 2019;322(9):824-833.

FDA N95マスク

墨東病院 手術室の清浄管理

・資生堂 IHADA アレルスクリーン

・自治医科大学附属さいたま医療センター マスクの正しい使用方法

・時事メディカル 濃厚接触者の定義変更ー感染研

 ・Yahooニュース 症状がない人もマスクをつけるべきか?

・ドイツでの無症状患者からの感染報告 N Engl J Med. 2020;382(10):970-971.

 

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コメント: 1
  • #1

    小春 (水曜日, 29 4月 2020 20:05)

    「嫌だったら買いに行かなきゃいいんですね」
    そんな事を言う為に、わざわざ電話してくる人が居るんですね。私だったら、行きたくないと思ったら黙ってその後行かなくなるだけですけど…
    自分の考えが絶対に正しい、それに反する人は悪、とばかりに独自の正義感をふりかざして相手を攻撃する人が多くて、今の世の中息が詰まります。

    私が貴店に伺った時は、事前にお店の感染予防の対策を読んでいたので、むしろこちらの行動がお店に迷惑をかけないように、と緊張して入店しました。
    これだけ配慮をしているお店を、私は他に知りませんし…

    人々の気持ちがささくれ立っている事で傷付けられる事もあるでしょうが、美味しいパンに癒されてる人も大勢居る筈です。
    どうか体調に気を付けて、これからも頑張ってください。