こんにちは。ぜにこです。
いつものコラムは、公衆衛生学の研究者としてのコロナウイルス対策なのですが
楽しい話も欲しいよね!ということで・・・
おいしいものが大好きなみなさまのための、おいしいコラムを始めようと思います。
そんなわけで、おいしいもののお話 記念すべき第一回は・・・
いつもおいしい果物を作ってくださっている山梨の農園「カノハタ」さんに行ってきました報告です🍇
かくれ家のLINE友だちになってくださっているみなさまには、もはやおなじみのカノハタさん。
お店で出している「ぶどうジュース」「ももジュース」だけでなく
夏の間は、毎週末 生果のももとぶどうを送っていただきました。
毎回、LINEでご予約を始めるとすぐに完売、一度召し上がった方のリピート率がハンパない!
いつもびっくりするほど美味しいフルーツを作ってくださるカノハタの園主・松崎さん、じつは元パン職人🍞
超大手のパン屋さんで職人をされていたのですが、おひさまのもとで働きたいということで農園をはじめられたそう。
左はしが園主の松崎一裕さん、右はしが奥様。そして息子たちと、地元の農家さん。
本当におひさまいっぱいのぶどう園です。
こんな笑顔のみなさんが作ってたら、そりゃおいしいはずです。
9月末ごろ、シャインマスカットの発注をお願いしたときに
「そういえば来週末、食用のぶどうの収穫は終わるので、ワイン用のぶどうを仕込もうと思いますが、いらっしゃいませんか?」
とお声がけをいただきました。
いちおうワインの資格を持っているぜにことしては
そんな楽しそうなイベントに行かないわけにはいきません!
週末はお店が混み合うので、ぜにこが外出するのは厳しいかな・・・とも思いつつ
職人チームにお願いして、朝の仕込みが終わった9時頃、車で勝沼へ向かいました。
なんとなく山梨って遠いような気がしていましたが、渋滞もなく2時間で到着。
元は建築をされていたという奥様デザインのご自宅は、トトロがでてきそう!
うちの中2になる娘までテンションUP。
「階段のぼったら、まっくろくろすけ出るかな?」なんて。
到着早々、男子たちは意気投合してゲームを始めましたが・・・
まずはぶどうの収穫から。
通常、日本でよく見るぶどうは「棚仕立て」といって、上の農園の写真のように、棚状になったぶどうの枝から房がぶら下がっているイメージだと思います。
この棚仕立ては、雨の多い日本や、日差しの強いイタリアなどで見られる とソムリエ教本に書いてあります。
実際日本人としては、ぶどうといえば棚 ですよね。
ぶどうは高温多湿に弱く、カビや病気になりやすいため、棚が雨除け・日よけの役割をしているようです。
そして、棚にするとちょうど目の高さぐらいに実がなるので、細やかな手入れがしやすく
生食のぶどうには最適なのだとか。
日本人の「美味しい果物」にかける意気込みが、仕立てからも伺えますね。
一方、ワイン用のぶどうというのは
日本でも「垣根仕立て」という、棚ではない枝ぶりになっていることが多いです。
こちら、カノハタさんちのご自宅にある「垣根」、というか垣根仕立てのぶどうの樹。
ヤマ・ソービニオンという、山梨で交配された国産ヤマブドウとカベルネ・ソーヴィニョンの掛け合わせ品種です。
日本人と欧米人のハーフですね。
ちょっとわかりにくいですが、上の写真中央あたりがぶどうの幹で、左右に2本の大きな分枝がひろがっています。
人が両腕を広げたような形、だと思ってください。
この腕の部分から、小さな枝が出てぶどうが成ります。
ぜにこの手のひらの下に見えているのが、分枝で、そこから上に細い枝がのびていて、ぶどうがついていますね。
ワイン用のぶどう品種は、生食用とは全くちがい、実が小さくてたくさんつくものが多いです。
果実に含まれる水分が少ない方が、旨味が濃縮されるということのようです。
↑ぜにこ家で、こんなに収穫しました!
さあ、ワインを作るぞ〜
↑こちらは収穫済みの甲斐路。
おなじみの生食用品種ですが、ちょっと傷んでいるところを取ってこちらもワインにします。
まずは、このぶどうたちを地道に選別。
傷んでいるものを取り除くと言っても、どんなのを避ければいいんですか?と聞いてみたら・・・
「食べておいしくなさそうなやつ」と。
わかりやすい!笑
↑こういうちっちゃい粒、青い粒、かびちゃってたり明らかに腐っているものなんかを切り落とします。
これを選果といいます。
なれないぜにこはトロトロ切っていますが、農家さんたちはたのしくしゃべりながらものすごいスピードで選果していかれます。
そして、おおよそきれいになったぶどうをバケツに入れて・・・ふみます!
園主・松崎さんいわく・・・
「ぶどうを踏みつけるという背徳感を味わいながら、でもちょっとくせになるこの感覚がいいでしょ」
たしかに、最初にぷちぷちぷち!とつぶしていく足の裏の感覚が、楽しくてたまりません♫
昔は、ほんとにこのように足で潰してワインを作っていたそうですが
現代ではもちろん機械で破砕します。
そして、ワインには不要な茎の部分を取り除きます。
これも大量生産なら機械がやりますが・・・もちろん手動です。
ぶどう汁が飛ぶので、よごれてもいいパン屋のTシャツに着替えました😜
茎を取りながら、潰しきれていない実を絞り、いらない部分を除いていきます。
これを除梗といいます。
どうでもいいですが、あらためて写真を見て、自分のうでっぷしの良さにびっくりです笑
女子の腕じゃないですね😅
ちなみに、赤ワインは果汁と実だけでなく、皮と種を一緒に醸します。
種や皮に赤ワイン独特のタンニンとさまざまな香り成分が含まれているので、いっしょに漬け込むことで赤ワインらしい風味が生まれるんです。
今回ふみふみしているヤマ・ソービニオンは赤ワイン用の黒ぶどうなので
茎だけを除いていきます。
じゃあ白ワインの場合にはどうするかというと
そもそも白ぶどう(マスカットのように、皮が色づかないもの)を使うことがほとんどです。
そして、皮や種が混じらないように、できるだけ果肉だけを絞ります。
原料がちがうだけじゃなく、実は最初の段階から作り方も違うんですよ〜🍇
ただひたすら、ぶどうを選果して、圧搾して、除梗する・・・
を繰り返します。
ぜにこは職人なので基本こういう作業、大好きです。
ご近所の農家さんからの差し入れ「小公子」というめずらしい国産品種の赤ワインをいただきつつ、ワイン用のぶどうを絞る。
なかなかオツなものです🍷
そんな大人たちを尻目に、ちびたちはトトロの家のなかでゲームに興じておりました。
まあ、いいんですけど🍇
だるまオーブンバーベキューで肉やら魚を焼きながらの作業。
楽しかったです。
あ、もちろんうちのパンも差し入れさせていただきましたよ🍞
写真を撮ろうと気づいたときにはもうほとんどなかったけど😥
あとは、いっしょうけんめい絞ったぶどう汁が発酵するのを待つのみ。
そういえば・・・ワインの勉強をしてみて、当たり前だけどびっくりしたことは
「ワインの原料は、ぶどうだけです」
という一言でした。
日本酒は、水や糀や、いろいろなものを加えて米を発酵させます。
ビールも同様。
だから酒造りは、比較的水質の良い場所でされていますよね。
でもワインは、原料としてはぶどうだけ、水は加えないのです。
言われてみればあたりまえなんだけど
だからこそ、ぶどうそのものの品質、それを決める土壌や風土がいかに重要か、ということを教えられたわけです。
今回、ワイン用ぶどうの収穫・選果・圧搾・除梗までをさせていただいて
あらためて「本当に原料はぶどうだけなんだ」ということを実感。
実際にやってみるって、やはり座学とは違います。
あとは、この絞ったぶどう汁が発酵して、ことしのワインになるのを待つのみ。
帰り際、おみやげに2018年もの・2019年もののカノハタワインをいただいちゃいました。
帰ったら飲もうと思ったけど、疲れて寝ちゃったので・・・これから試飲いたします🍷
【参考文献】
一般社団法人日本ソムリエ協会 2016日本ソムリエ協会教本